物流用語:モーダルシフト(modal shift)とは?
従来トラックが担っていた長距離輸送は、時間外労働の上限規制を受けて、新しい輸送手段を模索するべきという声があがっています。トラックドライバー不足などを発端とした物流リソースが議題にあがっていた頃から代替手法にあげられてきたモーダルシフトと、一般的なトラックと物流センターを用いた輸送との比較をしながら解説します。
モーダルシフトとは、「トラック等の自動車で行われている貨物輸送」を「鉄道や船舶のようにトラック何十台分もの輸送を一手に担える大規模かつ環境負荷の小さい輸送手段」へと輸送モードを変更することを指します。カギは「低環境負荷」と「大量輸送」への転換です。
これまでも大手企業が中心となり、環境対策などを目的としてモーダルシフトを推進してきました。
大量輸送が可能で環境負荷も少ないとなれば、必然的に輸送にかかるコストも低くなり、あらゆる物流ユーザーが使いたくなりそうなものですが、現在まで注目度が低かったのには理由があります。「大量輸送」と言われるだけあり、従来のモーダルシフトは「大ロットでの利用」が大前提でした。大量の商品を一括して特定のエリアへ移動させられる企業は限られていたのです。
現在は小口輸送にも対応している船会社、輸送会社も現れています。ただし、高頻度での小口輸送にモーダルシフトを適用すると、かえって輸送コストが大きくなる場合もあることを覚えておきましょう。
柔軟性という視点で見ると、モーダルシフトの主役となる鉄道やフェリーなどの船舶は、積み込み・積み下ろしのスケジュールが厳格に決定している上に、利用可能なエリアも定期航路・路線がある箇所に限定されています。つまり、鉄道会社や船会社の提示する航路や路線の中で貨物輸送を依頼することになる訳です。もちろん、降ろした後の陸上輸送も手配しなければなりません。
また、船舶や鉄道は天候の影響を大きく受けるのも事実です。天候変化への強さはトラックが圧倒的に便利と言わざるを得ません。物流センターも融通を利かせることができますから、料金など条件を整えればスケジュールや数量も自由自在です。
トラックにも決まった時間に大型トラックを用いた幹線輸送を行う路線便があります。そちらは比較的安価で鉄道や船舶よりは小回りが利くサービスと言えます。当社でも通販のお客様などをメインに手配することがあります。
天候の変化に強く、ユーザーの都合に合わせたスケジュール調整がし易い上に、小ロットにも強い。トラックと物流センターを組み合わせた陸上輸送の利便性や柔軟性が、これまで物流ユーザーを引き付けていたと言えるのかもしれません。
当社はお客様にとってベストな物流を、これからもご提案してまいります。
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