物流におけるリードタイムの未来
ヤマト運輸がリードタイムの一部延長を発表しましたね。6月から、一部地域で宅急便など翌日配達を取りやめ翌々日にするというものです。
物流2024年問題の影響が一般ユーザーの目に見える形で出てきました。
「たった1日で?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、物流現場にとって1日の猶予はトラックドライバーの残業時間を大きく左右します。
翌日配達しなければならないということは、前日もしくは当日の余裕のある時間帯に目的地付近の営業所に届ける必要があるということですので、物流企業は夜間や早朝の時間帯に物流センター間でトラックを走らせることになるわけです。日中に走らせると発注がまだ集まりきらずにトラックの荷台がスカスカになってしまったり、貨物をまとめて運ぶというスケールメリットを活かせず膨大な委託費が必要になります。タクシーとバスの運賃をイメージしてください。一組ずつ乗車して走るタクシーの運賃はバスの何倍にもなりますよね。
さて、これを翌々日配達へと伸ばせますと、遠隔地であっても、ある程度の余裕が生まれますので夜間以外に走行できる可能性や、リレー方式で目的地まで商品を運んで、トラックドライバーひとり当たりの拘束時間を減少させられる可能性があるわけです。トラックの配達は貨物を積んで、おろして、帰ってくるまでがミッションですから、目的地が遠いと移動距離が倍になってしまうのです。もちろん、帰りの貨物も積んでくるのでしょうが、距離が短いに越したことはありません。
いずれ、全国でリードタイムの見直しが必要になる機会があるかもしれません。
小売店ではバックヤードの敷地をこれまで以上に用意したり、宅配でも不確定な配達日に対応できるよう置き配が浸透するといった変化があるかもしれません。
これは、オトクな料金でお客様へ物流サービスを提供するためでもあります。残業代の割増率も今年から増加していますからね。
今後、お客様の望むサービスを実現するには、物流企業とお客様との一層密なコミュニケーションが不可欠となるでしょう。どこが妥協できるのか、譲れない所はあるのか、ユーザーの理解を得られるのか、考えることは山積みです。一緒に2024年を乗り越えられるよう、これからもよろしくお願い申し上げます。
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